ロシアに巨額投資している米国大企業

Ночная-Москва,
Kazuya Hirai

Kazuya Hirai

平井和也 | 1973年生まれ。青山学院大学文学部英米文学科卒業。人文科学・社会科 学系の翻訳者(日英・英日)。F1好き。 Twitter:@kaz1379/ブログ:http://entrans221.blog38.fc2.com/

Ночная-Москва,

編集部注:本記事は翻訳家・平井和也氏の寄稿。同氏は、人文科学・社会科学分野の日英・英日翻訳をおこなっている。

前回の寄稿((EUとロシアの密接な経済関係)で、EUとロシアの経済関係に関するBBCの報道内容について書いたが、今回はRussia Today(RT)が報じている記事について紹介したいと思う。前回のBBCの記事は、欧州諸国とロシアの経済関係に焦点を当てていたが、RTの記事は米国とロシアの貿易関係についても詳しく報道しており、前回触れていない側面に注目している。

また、参照している統計資料も異なっており、異なった資料に基づいた多様な情報に触れることができるので、是非紹介させていただきたい。

 

米国とロシアの貿易

米国商工会議所のデータによると、2013年のロシアと米国の純貿易額は381億ドルだった。米国の対ロシア輸出が112億6,000万ドルであり、ロシアからの財の輸入が269億6,000万ドルだった。

同じく米国商工会議所のデータによると、一方のロシアは米国に対して190億ドル以上の石油製品および10億ドルの化学肥料を輸出している。

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Who will threatened sanctions hit most? US-EU-Russia trade in numbers

 

EUとロシアの貿易

また、ロシアはEUに対する貿易依存度が非常に高く、EUはロシアの貿易量の約50%を占めている。2012年のEUとロシアの貿易額は1,230億ユーロに達している。ロシアの対欧州輸出品で最も重要な品目の一つが天然ガスだ。欧州諸国はロシアから天然ガスの3分の1を輸入に頼っており、特にロシアの最大の貿易相手であるドイツの年間の輸入額は約300億ユーロに達している。2012年の欧州のロシアからの全輸入のうちの75%がエネルギーで占められていた。

欧州の多くの国がロシアの大手国営石油会社であるロスネフチとガスプロムとの間で戦略的な提携関係を結んでいる。Eurostatのデータによると、ロシアはEU加盟28ヶ国の全輸入の7%、全輸出の12%を構成しており、ロシアはEUにとって米国と中国に続く第三の貿易相手国である。

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Who will threatened sanctions hit most? US-EU-Russia trade in numbers

 

ロシアに進出している米国大企業

米国の巨大企業の中でも、ボーイング、カーギル、フォード、GM、エクソンモービルはロシア市場で大きな存在感を築いている。ボーイングはロシアに巨額の投資を行っており、ロシア企業から大量の鉄鋼、チタン、航空部品を購入している。ボーイングはロシアの国営企業ロステック(ハイテク工業製品)からチタンの約35%を買っている。

ブルームバーグの報道によると、2013年におけるボーイングのロシアの航空会社への納品額は21億ドルであり、ボーイングの計画ではロシア市場に270億ドルを投資する考えでいる。米国商務省のデータによると、米国はロシアとの間で自動車や航空機の貿易を行っており、2013年ロシアは米国にとって112億ドル市場だったという。

米国の自動車会社はロシア市場で価格変動リスクの高い資産を多く抱えているため、米国によるロシアへの経済措置の動向を注視している。フォードはロシアで100万台以上の自動車を売り上げており、2013年の売り上げ台数は105,000台だった。ロシア市場で9%のシェアを持っているGMの売り上げ台数は258,000台だった。両社とも生産工場を欧州からロシアに移転している。ロシアは2016年までに欧州にとって最大の自動車市場になるとされている。

エクソンモービルはロスネフチと西シベリアのバジェノフ油田の共同開発を行っており、このプロジェクトの予算は5,000億ドルに達する見込みだ。エクソンモービルはさらにバジェノフ油田で150億ドルの液化天然ガスのプロジェクトも立ち上げる計画を立てており、黒海に埋蔵されている石油開発の合弁事業も立ち上げている。

 

米国主導の制裁に消極的な英国

米国議会上院の欧州小委員会委員長であるクリス・マーフィー議員は、米国政府の対ロシア制裁はロシアの銀行にも適用される可能性があると述べている。ロシアの二大国営銀行はズベルバンク(欧州で第三の銀行)とVTB銀行だ。両行ともロンドンに対する影響力が強く、英国は制裁に向けて動く考えはないことを示唆している。英国の官庁街から漏れた文書には、英国政府が米国主導の資産凍結または貿易制限に従う考えはないが、ロシアの要人に対するビザ発給制限と渡航禁止については検討していると明記されている。

 

【参照記事】

RT: Who will threatened sanctions hit most? US-EU-Russia trade in numbers

 

Photo :ru.wikipedia.org