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移民政策はアパルトヘイトを参考に!と主張する曽野綾子氏のコラム、さっそく世界に紹介される

2月11日の『産経新聞』に掲載された曽野綾子氏のコラムが批判を呼んでいる。このコラムは、将来の日本で移民受け入れが必要になると述べつつ、居住区は人種で分けるべきという南アフリカ共和国のアパルトヘイト政策を参照にするべきだと主張するものだ。

コラムの内容は?

このコラムは、「イスラム国」の問題から多文化の理解が難しいことを指摘。しかし、高齢者の介護などのために日本では移民が必須になることを述べた上で、移民としての法的身分を厳重に守らせなければならないとする。

その上で曽野綾子氏は、南アフリカ共和国でアパルトヘイト政策が撤廃されて以降、黒人と白人の共同生活が困難になった事例を紹介。人間は、事業も研究も運動も何もかも一緒にやれるが、居住だけは別にするべき、と結論付けている。

Twitterなどではすぐさま批判

このコラムに対して、Twitterなどではすぐさま批判が沸き起こった。

Tweet by dztp

曽野綾子が南アの居住制限という人種隔離政策を擁護するのは前から言っていたな。「黒人は大人数で音楽をきいて騒ぐことを好む」「白人は部屋で静かに思慮にふけることを好む」だから一緒に住まない方がいいという趣旨だった。民族間の相互理解の困難さより、曽野綾子を理解するほうが難しい。

曽野綾子の産経コラムは人種隔離政策の肯定のほかに、介護にも「介護分野に語学力とか衛生知識は必要ない」「孫が祖母の面倒をみるように優しければいい」と偏見が酷いな。ハンパな汚れ仕事は貧乏人の馬鹿にやらせておけくらいなもんだろこれ。

Tweet by TrinityNYC

さっそく英語圏にも報道

そしてこちらのコラムは、さっそく英語圏でも報じられている。Japan Timesは「著者・曽野は、論説で人種差別を求める」という記事を公開。コラムの内容と曽野綾子氏が安倍政権によって教育再生実行会議委員に任命されていること、Twitterで沸き起こった批判と産経新聞によるコラムの擁護などが紹介されている。

またThe Daily Beastには「安倍首相のアドバイザーは、アパルトヘイトが日本を救うだろうと賞賛する」と題された長文の論説が掲載。

こちらでは、コラムの内容と合わせて、曽野綾子氏が『週刊現代』2013年8月31日号で、産休制度を活用する女性を会社にとって「迷惑千万な」存在であると発言したことで、論争を呼んだ過去にも触れられている。

Daily Beastは他にも、産経新聞の「倫理要綱」を紹介した上で、曽野氏のコラムが「人権の尊重」を逸脱していることを批判的に示唆しながら、日本の「保守的な新聞」である産経新聞が、安倍政権の歴史観などと共鳴していることも指摘している。

2月18日17時15分追記:Daily Beastの筆者であるJake Adelstein氏がコメントで指摘してくださっているように、産経新聞は賞賛されるべき調査報道も行っており、その「倫理要綱」も素晴らしい内容となっている。

このコラムが、そうした産経新聞の異なる側面を隠すものにならないことを祈るばかりだ。

写真:ロンドンの反アパルトヘイト運動(Via : en.wikipedia.org

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KEN ISHIDA

KEN ISHIDA

本誌編集長。1989年生まれ、早稲田大学文学部で歴史学を専攻した後に、同大政治学研究科修士課程修了(政治学)。 本誌を運営する株式会社アトコレの代表取締役CEO。専門は国際関係史や日本近現代史だが、本誌ではテクノロジーや経済から国際情勢まで幅広く担当している。MUSEY編集長。 Facebook : Ken Ishida / Google+ : Google / Twitter : @ishiken_bot

1件のコメントがあります

  1. 記事を熟読していただき、光栄です。The Daily Beastの特派員です。
    昔は大手新聞の記者も勤めていたので、産経新聞の記者の知り合いもいては彼らと彼女達の中では、敏腕記者もいて尊敬しています。新聞としてはほめるべき調査報道も施してることをDBの記事で指摘したつもりです。
    ただし、
    「Daily Beastは他にも、産経新聞の「倫理要綱」を紹介した上で、曽野氏のコラムが「人権の尊重」を逸脱していることを批判的に示唆しながら、日本の「保守的な新聞」である産経新聞が、安倍政権の歴史観などと共鳴していることも指摘している。
    ーーそれはそうです。素晴らしい倫理要綱とそのコラムの”噛み合わせ”があまりよくないようです。