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イギリスの議会におけるヤジはどうなっている?

東京都議会で、妊娠や出産、不妊に悩んでいる女性に対する支援に関する質問をおこなった塩村文夏都議に対して、「産めないのか」「自分が早く結婚すればいい」などと男性都議からヤジを飛ばされたことが問題になっている。

日本の国会などにおける騒々しく、醜悪なヤジについては不快に思っている人も少なくないかもしれないが、「議会制民主主義の源流」であるイギリスにおいて、ヤジは飛び交っているのだろうか?

ブツブツ言うバカ

まずご紹介するのは2012年5月の英下院(庶民院)。デイヴィット・キャメロン首相が、労働党のシャドウ・キャビネット(影の内閣)で財務相をつとめるエドワード・ボールズの野次に対して、「ブツブツ言うバカ」と言ったことで、発言を撤回された。

キャメロンの「バカ」発言に対して、「スピーカー」と呼ばれる議長が、「議会の慣例に反する」と指摘して、キャメロンは笑顔を向けながら「バカ」という表現を「我々を巨大な財政赤字と金融危機の中に置き去りにした男」に置き換えた。

お嬢さん、落ち着いてください

次にご紹介するのは、「性差別」だと批判された2011年の発言だ。こちらも飛び交う労働党からのヤジに対して、キャメロン首相が女性議員に向けて「お嬢さん、落ち着いてください(Calm Down Dear)」と述べたことが批判を集めた。

こうした表現が現代ではほとんど使われないことで、女性に対する侮蔑的な表現だとして、当時は英国内で大いに話題になり、キャメロン首相は最終的に謝罪をおこなった。

子どもたちの手本に

以上2つの例を見ても分かる様に、イギリスの議会においてもヤジを飛ばす議員たちは決して珍しい訳ではない。例えば、このキャメロンと労働党党首エド・ミリバンドの応酬では、あまりにも激しいヤジに対して「スピーカー」が、「子どもたちの手本になるべきだ」と叱りつけている。

以上見てきた様に、イギリスであっても議会におけるヤジは決して珍しいものではない様だ。歴史的には醜悪なものも見られ、労働党のトニー・バンクスがマーガレット・サッチャーに対して、「セックスに飢えた大蛇」だと暴言を吐いたこともあった。

しかしいずれにしても、ここで言いたいことは 「ヤジはイギリスでもある」や「ヤジは議会の華」といったクダらない話ではない。それがどこの国でおこなわれていようと、(少なくともウィットに富んでいない)ヤジが気持ちよく見えるのは稀であろうし、それが醜悪なものであれば尚更だ。

そして、今回の都議会に限って言えばそれはヤジそのものが問題であるというよりも、その絶句するほどに下品で、知性とユーモアのかけらも無い差別発言こそが問題なのだ。最大派閥である自民党は、現在のところ口をつぐんでいるが、このまま問題をうやむやにすることは出来ないだろう。

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KEN ISHIDA

KEN ISHIDA

本誌編集長。1989年生まれ、早稲田大学文学部で歴史学を専攻した後に、同大政治学研究科修士課程修了(政治学)。 本誌を運営する株式会社アトコレの代表取締役CEO。専門は国際関係史や日本近現代史だが、本誌ではテクノロジーや経済から国際情勢まで幅広く担当している。MUSEY編集長。 Facebook : Ken Ishida / Google+ : Google / Twitter : @ishiken_bot

3件のコメントがあります

  1. twitterでさ、このイギリスの野次を取り上げて、
    他の先進国でもヤジは行われてるんだぁ的なツイートするやつがいるんだけど
    だからどーしたと言いたい。

    よその家が汚物まみれだったら
    自分の家が汚くてもいいのかってw
    全く関係ねーじゃん

    大体イギリスでもこのヤジ、決して好意的に受け取られていない点も忘れ去られている。

    今回の自民党の性差別主義について、擁護できるポイントはどこにもねーよ。
    完全に自民党がセクシスト党ってだけ。